
日本の発酵物の多くが麹菌によるものです。それは、長い年月をかけて、日本の気候風土になじみ、先人から受け継がれてきた大切な食文化の一つです。私たちは、民族の違いを無視して、健康を維持することはできません。体型の違いや食生活の違いからも明らかなように、日本人であれば、日本で培われてきた食文化に従うことがもっとも自然なことなのです。
今回は、塩麹を使った数々の料理を紹介します。どれも手軽に家庭で作れるものばかりです。いつもの調理法に一工夫するだけで、おいしい塩麴のお料理が楽しめます。
塩麴を使った魚料理
●あじの刺身の塩麴漬け
【材料(4人分)】
あじ(刺身用) 2尾
塩 少々
塩麴 大さじ5
おろしわさび 適宜
つま 青菜のおひたし、焼きエリンギなどお好みで
【作り方】
1.あじは3枚におろし、ぺーバータオルで水気をふく。上身と下身に軽く塩をふり、しばらくおいておく。
2.余分な水気はペーパータオルでふきとり、1枚ずつさらしで包み、ファスナー付きの保存袋に入れる。
3.塩麴を塗り付けるように全体に広げる。
4.さらし全体が湿るようにふくろの外から手でなじませ、空気を抜いて袋の口を閉じる。冷蔵庫で1日おくとよい。
5.あじを取り出し、薄いそぎ切りにし、つまとともに器に盛る。お好みでわさびを添える。
塩麴さえあれば、食材に塗るだけの簡単料理です。味をしっかりなじませるためには、1日寝かせておくことが必要です。青魚を塩麴で漬けるだけで、食感が濃厚になり、ぜいたくな高級魚に変わってしまいます。いわしやさばなどでもおすすめです。
●鮭の塩麴漬け
【材料(4人分)】
生鮭 4切れ
塩 少々
火入れした塩麴 大さじ6
【作り方】
1.鮭はペーパータオルで水気をふき、塩をふってしばらくおく。
2.出てきた水分をふきとり、1切れずつさらしで包む。
3.ファスナー付き保存袋に入れ塩麴を塗り、袋の外側から手でなじませる。全体に湿るようにして、空気を抜きながら口を閉じる。冷蔵庫で1日半くらいおく。
4.魚焼きグリルで焼き上げ、器に盛り、塩麴を添える。
塩麴で漬けても、鮭本来の味を感じることができます。ふんわりとやわらかい身は、鮭ご飯にしていただいてもとてもおいしいです。意外にも鮭は安価なものでもとってもおいしくいただけます。味噌漬けや甘酒漬けもおすすめです。
●鯖の塩麴煮
【材料(4人分)】
鯖(2枚におろしたもの) 2尾
しょうが 大2かけ(薄切り)
長ねぎ 1本(斜め薄切り)
塩麴 大さじ4
砂糖 大さじ2
【作り方】
1.鯖を半分に切り、熱湯でさっとゆでたら、すぐに水にとってきれいに洗い、水気を取る。
2.フライパンに鯖の皮目を上にして並べ、皮が浸るくらいの水を加え強火にかける。
3.2が煮立ったら火を弱め、アクを取り、しょうがと塩麹を入れる。
4.強めの中火で3をひと煮立ちさせる。キッチンペーパーをしっかりかぶせ、煮汁が少なくなるまで煮る。
5.砂糖を4に加える。
6.5を器に盛りつけ、長ネギを添える。
鯖は塩麴と相性が良く、一口食べれば実感できます。麹自体の甘みを活かし、砂糖は少なめで調理できるので、ダイエット中でも安心して食べられるでしょう。また、たっぷりの生ネギを一緒に食することで、酵素を補給することが可能な一品となります。
普段使いの肉料理に塩麴をちょっと加えて
●豚肉の塩麴生姜焼き
【材料(4人分)】
豚肉生姜焼き用(厚め) 8枚
しょうが 2かけ(すりおろす)
塩麴 大さじ3
玉ねぎ 1個(1㎝の厚さに切る)
トマト 1個(1㎝角に切る)
キャベツ 6枚(千切り)
水 大さじ6
みりん 大さじ2
セルフィーユ 少々
サラダ油 小さじ2
【作り方】
1.豚肉をすりおろしたしょうがと塩麴(半量)の中に入れ、まんべんなく揉みこむ。
2.フライパンにサラダ油を熱し、豚肉の両面を強めの中火で焼く。
3.2を取り出し、玉ねぎを炒め、水、みりんを加えひと煮立ちさせる。
4.トマトを加えたら豚肉を戻し、豚肉に完全に火を通す。
5.火を止め、残りの塩麹を加えてからめる。
6.器にキャベツとセルフィーユを添え、盛りつける。
下味に使う塩麴が豚肉のコクと旨味を引き立たせます。キャベツの千切りと食べることで、同時に体によい酵素がたっぷり摂れます。
●塩麴肉じゃが
【材料(4人分)】
豚こま切れ肉 200g
ジャガイモ 8個(一口大)
玉ねぎ 1個(くし形)
にんじん 2/3本(小さめの一口大)
水 1・1/3カップ
塩麴 大さじ6
グリーンピース 適量
【作り方】
1.豚肉を熱湯でゆで、ざるで水気を切る。
2.フライパンに豚肉、ジャガイモ、玉ねぎ、にんじんと水を入れ、ふたをして、強めの中火で蒸し煮する。
3.2が沸騰したら弱めの中火で約7分煮る。
4.3を大きく混ぜて、水分がなくなるまで煮る。
5.火を止めて塩麴を加える。
6.器に盛りつけ、グリーンピースを散らす。
塩麴は70℃以上で酵素が働かなくなるため、火を止めてから塩麴を加えることがポイントです。
塩麴を使ったおすすめスープ&ジュース
●ほうれんそうとセロリの塩麴スープ
【材料(4人分)】
ほうれん草 8株(ざく切り)
セロリ 6㎝(ざく切り)
塩麴 大さじ
牛乳 540ml
【作り方】
1.ミキサーにほうれん草とセロリ、塩麹、牛乳を入れ、撹拌する。
●小松菜とキウイの塩麹ジュース
【材料(4人分)】
小松菜 8株(ざく切り)
キウイ 2個(皮をむき、ざく切り)
はちみつ 大さじ2
塩麴 小さじ1
水 2カップ
【作り方】
1.ミキサーに小松菜、キウイ、はちみつ、塩麹、水を入れ、なめらかになるまで撹拌する。
塩麴で作る定番ご飯・麺類
●簡単ちらし
【材料(4人分)】
ごはん 茶碗4杯分(800g)
塩麴 大さじ4
酢 大さじ4
えび(殻付き) 小12尾
きゅうり 2本(薄い小口切り)
青じそ 10枚(5㎜角に切る)
プロセスチーズ 100g(5㎜角に切る)
白いりごま 適量
【作り方】
1.温かいごはんに塩麴と酢を加え、ざっくり混ぜ合わせる。
2.殻と背ワタを取ったえびを水大さじ1(分量外)とともに鍋に入れ、ふたをして中火で蒸す。
3.器に1を盛りつけ、えびときゅうり、青じそを彩りよくのせ、白いりごまをふる。
酢飯と塩麴の相性はとてもよく、砂糖を加えなくても塩麴の甘みで味を引き立ててくれます。ごはんが覚めても米がパラパラしており、シンプルな具材で本格的なちらし寿司が楽しめます。
●ネギラーメン
【材料(4人分)】
中華麺(生) 4玉
長ネギ 2本(斜め薄切り)
ウインナー 4本(粗みじん切り)
水 8カップ
塩麴 大さじ6
こしょう 少々
ごま油 小さじ4
【作り方】
1.長ネギを水にさらし、辛みを取った後、しっかり水気を取る。
2.水を沸かし、中華麺とウインナーを入れ、表示時間通りにゆでる。
3.器に2を汁ごと盛りつける。1と塩麴をのせ、こしょうをふり、仕上げにごま油を回しかける。
生きたままの酵素を摂るため、長ネギと塩麴は最後にのせることがポイントです。長ネギの代わりにカイワレ大根などもおすすめです。味付けはシンプルですが、塩麴とごま油の旨味がきいた味わい深いスープが楽しめるでしょう。
●冷製塩麴スパゲティ
【材料(4人分)】
スパゲティ 200g
プリーツレタス 4枚(食べやすい大きさにちぎる)
トマト 2個(小さめの一口大)
プロセスチーズ 100g
塩麴 大さじ2
マヨネーズ 大さじ4
粗びき黒こしょう 適量
【作り方】
1.スパゲティを半分に折り、たっぷりの熱湯で表示時間よりも少しだけ長くゆでる。
2.1を水にとり、水気を切る。
3.皿にレタスを敷き、2とトマトを盛りつけ、プロセスチーズをすりおろしながらかける。
4.3に塩麴を散らし、マヨネーズと粗びき黒こしょうをかける。
生でも食べられる具材で、ササっと作れる時短料理です。プロセスチーズの代わりに粉チーズやクリームチーズでも相性がよく、おいしくいただけます。お好みの季節の野菜を取り入れてもいいでしょう。
●塩麴だれそば
【材料(4人分)】
そば(乾麺) 400g
長ネギ 1本(小口切り)
塩麴 大さじ4
おろしわさび 少々
【作り方】
1.そばを表示時間通りゆで、水で洗い、水気を切ったら皿に盛りつける。
2.そば油と長ネギ、塩麴とわさびを添える。
めんつゆは作らず、そば湯に塩麴を溶かしてつゆがわりにします。そばにはビタミンB1やタンパク質、ルチンなどの栄養素が豊富に含まれています。栄養成分がたっぷり溶け込んだつけ汁でそばを食せば、美容と健康効果がさらにアップするでしょう。
まとめ
塩麴を使った料理はとても簡単です。基本は、食材に塩麴をまんべんなく塗り込み、少し寝かせること。旬の野菜や好みの食材を漬け込むだけで、上品でぜいたくな旨味を簡単に引き出すことができるとても便利な発酵調味料です。塩麴を上手に使って、旬のおいしさを1年中堪能しましょう。