発酵食品をつくる代表的な5つの微生物の一覧

発酵とは微生物が持つ酵素が人間にとって有益な物質を作り出す働きのことを言います。発酵を助けるそれら微生物が付着することによって、元の食材にはなかった新たな栄養成分が生まれ、さらに甘さや旨みなどの味わいも引き出されます。長い年月をかけて、微生物はわたしたち人間の体や暮らし、食文化に様々な効果をもたさせました。このような有益な微生物の優れた働きと人間の知恵の結晶こそが発酵食品なのです。

発酵に関わる微生物にはさまざまな種類が存在しますが、今回は代表的な5つの微生物をご紹介します。

麹菌

米や大豆など加熱した穀物に着くカビの一種で「国菌」にも定められている麹菌は、味噌やしょう油をはじめ、日本酒、酢など、日本の食卓や和食文化に欠かせない発酵食品をつくる際に使われている、日本を代表する微生物です。種類も多く、代表的なニホンコウジカビは1000種類にも及ぶとされています。麹菌は菌糸から2種類の酵素を出していますが、その酵素の1つアミラーゼはでんぷんを糖に、もう1つの酵素プラテアーゼはタンパク質をアミノ酸に分解します。そのことにより甘みや旨みをプラスしているのです。

酵母菌

野菜や果物の表面、穀物、空気中や土壌など自然界のあらゆる場所に生息していると言われている酵母菌は、発酵過程において糖を分解し、アルコールや炭酸ガスを生み出すと言われています。そのため、パンの発酵や酒、ワインなどの製造に欠かすことができない微生物で、主に天然に存在している酵母菌を純粋培養して用いられています。パンの発酵用に純粋培養されたイースト菌も酵母菌の一種です。

また酵母菌には便秘解消、血糖値上昇の抑制など健康効果もあると言われています。

乳酸菌

食品に含まれる乳糖やブドウ糖など糖分を栄養にして、乳酸を大量に分泌する菌を総称して乳酸菌と言います。空気中や土の中、植物、人間の腸内などあらゆる場所に生息している多種な微生物で、ヨーグルトやチーズなどの乳酸品をはじめとし、漬物や味噌、酒類に及ぶまでたくさんの乳酸発酵食品を作り出しています。

殺菌作用や保存性を高めるのに役立つ強酸性という力も乳酸菌の特徴です。この強い酸性の働きを利用した発酵食品がヨーグルトで、牛乳など動物の乳に乳酸菌を加えると液体を凝固させて製造しているのです。腸の働きを整える善玉菌とも呼ばれる乳酸菌は、最近次々と新たな菌が発見され、大変注目されています。

酢酸菌

酢酸菌はエタノールなどのアルコールを酢酸に変化させる菌の総称で、酢を作り出すことで有名な菌でもあります。蒸した米に麹を入れた米麹をアルコール発酵させて、もろみを作り出し、そこへ酢酸菌を加えることで酢は作られています。アルコールつまり酒を発酵させてつくることから、酢という感じは酒で作ると書くと言われているのです。

酢酸菌の中には発酵の過程で膜を作るものがあります。この性質を利用した発酵食品がナタデココです。

納豆菌

枯葉や落ち葉にも生息する枯草菌(こそうきん)の一種であり、稲わらに生息している微生物を納豆菌と呼びます。加熱した大豆に納豆菌を付着させ発酵したものが納豆になります。発酵の過程でタンパク質はアミノ酸に分解され、そこで生まれるビタミンB2は煮豆の約6倍、ビタミンK2はその他の発酵食品の数百倍にもなります。

また納豆菌は熱にとても強く、100℃で加熱しても死滅することはないため、生きたまま腸に届くのも大きな特徴です。そのため、納豆は腸内環境を整えるために役立つ発酵食品としてその力を発揮しています。

微生物は大きく善玉菌と悪玉菌に分類することができます。上記のような発酵菌、人間に健康維持や効果を与えてくれる発酵微生物を善玉菌と呼び、反対に食べ物を腐らせてしまう腐敗菌や病気を引き起こす病原菌などは悪玉菌と呼ばれています。善玉菌とされる微生物は、旨みのある多くの発酵食品を生み出すにとどまらず、抗生物質などの医薬品や農業用堆肥など幅広く大活躍しています。

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