発酵食品の日本における歴史

夏に高温多湿となる日本は、発酵に適した気候に恵まれています。カビや菌類などの微生物は水分や湿度があるところで繁殖するため、日本の気候は多種多様な発酵食品を生み出しました。そのため、日本食文化には多くの発酵食品が使われ、現在でも各地で伝統的な発酵食品が守られています。ところで、日本における発酵食品の歴史は、いつごろから始まったのでしょうか。

日本の発酵食品の歴史の始まりは酒造り

日本では既に縄文時代に、アワやヒエ、クリやクルミなどを原料とした酒が作られていたと言います。この時代の酒は、原料を口で噛み砕き容器に貯めて置くという方法で作られ、これは、唾液中の消化酵素によってデンプンがブドウ糖に分解され、空気中の酵母によってアルコール発酵することによりできたものでした。長野県の井戸尻遺跡や青森県の風張遺跡、三内丸山遺跡では、酒造りに用いられたとみられる穀類の塊が発見されています。

奈良時代の文献にみる日本の発酵食品の歴史

奈良時代になると多くの文献が残されるようになり、そこには発酵食品の歴史も記されています。例えは、8世紀初頭の『大隅国風土記』や『古事記』には、縄文時代から行われていた口噛みの酒の酒造りの様子をうかがわせる記述があります。

また、同時代の『播磨国風土記』には、蒸した米にカビが生えたので、それで酒を醸したという記述があります。この頃既に米麹が発見され、日本酒の原型が作られていたことがわかります。

さらに、『大宝令』によると、「大膳食」の項目に「未醤」という言葉があります。これは、しょう油になる前の物、つまり味噌の原型をこのころ食していたという証拠です。

日本の代表的発酵食品・漬け物の歴史

日本における漬け物の歴史は古く、すでに縄文時には野菜の皮を塩漬けにしたものがありました。そして、弥生時代、奈良時代と時代を経るごとに変化に富んだ漬け物が生み出され発展していきます。平安時代の『延喜式』第39巻には、塩、味噌、しょう油、酒粕などに漬け込んだ、薺(ナズナ)、蕨(ワラビ)、芹(セリ)、薊(アザミ)、虎杖(イタドリ)、蕗(フキ)などの春漬け14種と、瓜(ウリ)、大根、茄子(ナス)、茗荷(ミョウガ)などの秋菜漬け35種が記載されています。

日本の伝統的発酵調味料の歴史

奈良時代には既に米麹が発見され、味噌の原型も作られていたようですが、しょう油の起源は定かではないようです。弥生時代に、中国や東南アジアからしょう油の原型である醤(ひしお)が伝わったといわれていますが、肉や魚、野菜などを原料としたものだったようです。それが、日本独自の発展を遂げて、加熱した大豆と麹により作られる今日のしょう油の原型になったのは、室町時代の末期ごろではないかと推測されています。この頃には、米麹を製造し販売する種麹屋が登場し、酒蔵などへ麹菌を販売するようになりました。

納豆は、味噌を作る過程で生まれたと考えられますが、文献に登場するのは江戸時代で、納豆汁にして食べていたようです。

酢は、紀元前5000年ごろのバビロニアには既に食用にされていたとされますが、日本では5世紀初頭の応神天皇の時代に作られ、食されていたといいます。大昔から酢が世界中で利用されたのは、殺菌、防腐作用の他、食材の臭いを抑え、食欲増進に役立つその効果を古代の人々が重宝していたからでしょう。

発酵食品  発酵食品

コメントは受け付けていません。