発酵食品から分かる日本文化

日本にはさまざまな発酵食品があります。元々は食品の保存のために生まれた発酵食品ですが、それを育む自然環境や気候風土と密接に関わっているため、その国の文化と深く関わっています。例えば、日本酒や味噌、しょう油、納豆など、広く日本人に知られた発酵食品もある一方で、なれずしや魚醬など、一地域の郷土料理や文化とともに発達した発酵食品もあります。発酵食品と日本文化の関係はどうなっているのでしょうか。発酵食品から、日本文化に迫ってみましょう。

日本酒から見る日本文化

発酵食品の中でも、日本人にとってとても大切なものに日本酒があります。世界にはワインやビールなどさまざまな醸造酒がありますが、それらの醸造酒の中でも、日本酒の作り方は特殊で、麹菌の働きによる米のデンプンの糖化と、酵母菌の働きによるアルコール発酵という2段階の発酵によって作られます。縄文時代後期には、すでに米から2段階の発酵によって酒ができることが分かっていたようです。

日本酒は清酒とも呼ばれ、米を主食として生活をしてきた日本では、米と米麹からできる日本酒は神聖なものとして扱われてきました。平安時代には、朝廷の神事に利用するための酒造りが行われていた記録が残っているそうです。日本酒は「御神酒」と呼ばれ、現在でも神事に欠かせません。祭りや人生の節目などと切り離せない日本酒は、日本文化に欠かせない発酵食品と言えるでしょう。

発酵調味料に見る日本文化

日本には、独自の和食文化があります。ユネスコの無形文化遺産にも登録された和食ですが、これを支えるのが、日本独自の発酵食品です。特に麹菌の作用によって作られる発酵食品、味噌やしょう油、日本酒やみりんなどがあったからこそ和食文化が発達したと言っても過言ではないでしょう。

味噌はしょう油に比べ歴史が古く、その発祥は奈良時代にさかのぼります。一方、しょう油は室町時代に末期です。そのため、江戸時代になってしょう油が大衆化するまでは、日本食の味付けは味噌が中心であったようです。戦国時代には、味噌は兵糧として重宝され、各地の戦国武将たちが独自の味噌を作りました。信州味噌や仙台味噌など、その食文化は現代にも受け継がれています。

かつては手前味噌といって、各家庭で味噌を仕込むのが普通でした。味噌は日本各地の気候風土とも結び付きが強く、発酵食品の製造の大規模化や合理化が進む現在でも、比較的小さな製造工場が残り、日本の食文化の豊かさを示してくれています。

郷土料理に見る発酵食品

日本には数多くの漬け物があります。日本の漬け物の起源は縄文時代にさかのぼるといわれ、様々な地域の郷土料理に漬け物のような発酵食品を見つけることができます。漬け物は「香のもの」とも言いますが、これは室町時代の茶の湯文化に起源があります。

日本各地には実にさまざまな漬け物があります。日本の各地には野菜を漬けた漬け物だけでなく、魚を食塩と米で漬け込んだなれずしもあります。寿司の元々の始まりは、発酵食品のなれずしで、現在でも鮒ずしやかぶら寿司などがを残っています。

世界では、和食と言えば寿司と答える人も多いですが、現代の人々が寿司と言って思い浮かべる江戸前寿司は江戸時代末期になって食べられるようになったと言います。寿司は元来縁起の良いもの、祝いの席で食べる物でした。日本酒と同様に、日本文化と密接に結びついた食品だったのです。

 

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