日本伝統の発酵食品主な漬物の一覧

昔から香り豊かなご飯のともであり「お新香」と親しまれてきた漬物は、現在も日本の食卓に欠かすことのできない食品ですが、実は日本は「世界一の漬物王国」と言われるほど、漬物の種類が豊富な国です。その数は600種類を超え、漬け込む材料も多岐にわたっています。漬物は無発酵漬物と発酵漬物の2つに分類することができますが、今回は後者の発酵漬物の主な4種類を取り上げます。漬物の発酵は乳酸菌と酵母菌によるものがほとんどで、これらの菌は空気中にも多く存在し、浅漬けのように塩のみでも発酵は起こります。また漬物に多く含まれる乳酸菌は植物性乳酸菌で、高い塩分濃度にも耐えることができ、材料となる野菜などの糖分を栄養に発酵を促します。この発酵で生み出される乳酸が漬け汁を酸性にし、食材の成分を分解してうま味を引き出すのです。

ぬか漬け

ぬか漬けは米麹を乳酸発酵させたぬか床に、大根やきゅうりなどの野菜を漬け込み、野菜の栄養価をさらに高めた漬物で、日本を代表する伝統発酵食品です。江戸時代、庶民の間でも白米が食べられるようになり、残った米ぬかを利用して作ったのが始まりだと言われています。腸内環境を整える乳酸菌や活性酸素などの体のサビを排出する食物繊維が豊富に含まれており、乳酸菌はぬかに含まれる糖質、タンパク質を分解して、うま味を引き出し酸味で塩気をまろやかにする効果を持っています。また漬け込む野菜に米ぬかのビタミンB1がしみ込むので、例えばきゅうりをぬか漬けにした場合、生で食べるのと比べて、ビタミンB1をおよそ7倍多く摂取することができます。そのほかにもナトリウム、カリウム、リン、ビタミンA、ビタミンB6なども含まれています。

麹漬け

麹漬けは米麹に塩、砂糖、みりん、米などを混ぜ合わせた漬け床に、野菜などの食材を漬け込んで作る漬物です。代表的なものに、東京の名産でもある「べったら漬」があります。べったら漬は江戸時代中期から甘みのある高級な大根の麹漬けとして愛されてきました。米麹に砂糖を入れて漬けたため、大変ベトベトとしていたことが、べったら漬の名前の由来となっています。当時の東京の人たちは、この甘いべったら漬をお茶うけとして食べていたと言われています。また同じ麹漬けでも、米麹に塩と米を混ぜた、東北地方に今も伝わる「三五八漬け(さごはちづけ)」という漬物があります。三五八漬けの場合、塩3:米麹5:米8の割合の漬け床なのですが、これこそ、万能調味料として発酵食品として大人気の「塩麹」の始まりだとされています。主な栄養分はナトリウム、ビタミンC、食物繊維ですが、加熱せず生のまま食べる麹漬けは、麹のもつ酵素のパワーをそのまま摂取することができるという大きな利点があります。そのほかにも、千枚漬け、三升漬けなど多くの種類を持つのも麹漬けの特徴の1つです。

粕漬け

粕漬けは野菜をはじめ、肉類や魚介類などを酒粕に漬け込んだ漬物です。日本全国にはその土地の食材を用いたさまざまな粕漬けがありますが、中でも有名なのが、奈良県名産の「奈良漬」です。白瓜を酒粕と塩で漬けたもので、ここで使用する酒粕は樽に入れて足で踏み、半年ほど熟成された練り込み粕(練り粕)で、あらかじめ塩漬けした瓜を練りこみ粕に漬けかえます。さらに1年〜2年酒粕の風味をじっくりとしみ込ませるのです。酒粕に残っているアルコール分と酵母菌の働きで保存性も高く、酒粕の酵素や酵母によって発酵させ、糖や多くの有機酸、ミネラルが生成されます。その他、ナトリウム、ビタミンB6、食物繊維、葉酸なども含まれています。

塩漬け

漬物の基本とも言える塩漬けは植物性乳酸菌ならではの発酵漬物です。ほとんどの漬物が下漬けとして塩漬けをし、野菜の水分を抜いて発酵させ、味や旨みを出してから本漬けをしています。塩によって水分の抜けた野菜は糖分が引き出され、それらを栄養に乳酸菌も増えて発酵が進んでいきますが、菌の数は一晩で数千万個(漬物1gあたり)にも及ぶと言われています。また発酵によって生まれる酸味には塩分をやわらげる効果もあります。

生の野菜を発酵漬物に変えることで、ビタミンやミネラルなどの栄養価が高まるとともに、乳酸菌などの微生物も増え、塩で水分を抜いた野菜からは凝縮した食物繊維が多く摂取することができます。最近では、漬物には動脈硬化や心臓病、がん、高コレステロール、糖尿病といった生活習慣病の予防に効果があると注目されています。

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