日本の文化でもある発酵食品『粕酢』の造り方

粕酢の造り方

酢は、寿司、酢の物、酢漬けなど伝統的な和食の味付けに使われてきました。殺菌、防腐作用や生臭さをやわらげる働きがあるため、生魚を食べる日本人には必須だったのでしょう。酢には疲労回復や食欲増進効果があります。また、腸内環境を良くする働きもあり、ストレスに負けない身体づくりに役立つことがわかってきました。江戸時代から続く日本の文化でもある粕酢造りの工程をみてみましょう。ものづくりの原点に触れることができます。

昔の酢造りの工程

1 粕倉(粕熟成) 酒粕を貯蔵し熟します。
酢の原料となる酒粕を大きな樽に入れ、その桶を密閉して貯蔵します。その貯蔵中に酒粕に含まれているでんぷんやたんぱく質が分解され甘味(糖)や旨味(アミノ酸)を増やします。でんぷんやたんぱく質の分解を十分行うために3年ほど貯蔵します。この間に酒粕が柔らかくなり色も濃くなります。

2 冷やかし もろみを造ります。
熟成した酒粕を桶に移し、水を加えかき混ぜると酒粕に含まれているアルコール(酒精)や旨味などが水に溶け出し、もろみができます。アルコールや旨味などを水に十分溶解させるために7~9日間浸し撹拌します。この行程中に、もろみの中の微生物の働きによりアルコールが増えます。

3 ふな場(圧搾) もろみの個体と液体を分離して酒造りの元液を作ります。
酒粕を溶かしたもろみを袋に入れ、その袋を槽の中に並べて置くと、袋から澄んだ液が流れ出ます。袋から出なくなると、少しずつ重石を加え袋から液を絞り出します。この液を、「酢酛」と言います。袋に液がなくなるまで重石を増やし、液が袋から出なくなったところで終了します。

4 わかし 仕込み液の温度を調節するために酢素を沸かします。
全行程で絞り出した液「酢酛」を半分に分け、分けた片方の液を大きな鉄釜で沸かして「沸かし汁」を作ります。沸かさないもう片方を「澄まし汁」といいます。

5 仕込み 酢を造ります(酢酸発酵)。
前回造った酢は、半分を製品として使い、半分を次の酢造りの為「仕込み桶」に残しておきます。「仕込み桶」に残した酢酸菌を含んだ酢を「種酢」といいます。そこに澄まし汁と沸かし汁と、(種酢1に対して澄まし汁・沸かし汁各1/2)を加え、温度を調節し「仕込み液」を造ります。次に、その桶に蓋をして酢酸発酵を進めます。酢酸発酵では、種酢の中の酢酸菌が増殖し、空気に触れる「仕込み液」の表面に膜上に集まり、その膜状の酢酸菌群が空気中の酸素を使ってアルコールを酢に変えます。「仕込み液」のアルコールが全部酢に変わったところで、酢造りが終了します。終了した「仕込み液」の半分は製品用として使用し、残りの半分は次回の酢酸発酵用の「種酢」として残し、これを順次繰り返して酢を造っていきます。

6.貯蔵 酢の味と香りを整えます。
製品として使用する酢を貯蔵桶に移して2~3ヶ月の間貯蔵します。すると、酸味、旨味といった酢の味や香りなどが整えられ、酢がまろやかになります。

7.灰ごし(ろ過) 酢を澄んだ液にします。
4斗入りの桶に砂を入れ、その表面に藁灰を敷きます。この藁灰は酢で煮てからこして不純物を取り除いたものです。そして、その上に貯蔵した酢を入れ、藁灰や砂を通してにごりの成分を取り除き、桶下部の注ぎ口から澄んだ酢が流れでてきます。

8.詰くち 酢を樽に詰めます。
ろ過された酢を柄杓と漏斗で樽に詰めます。樽の天面を木槌で叩き、音を聞くことで酢の量を確認しながら樽いっぱいになるまで詰めます。

9.荷造り 出荷の最終準備をします
樽にブランドの印、品名、製造場所、製造者を墨で書いたり、焼き印を押し、縄かけをして製品とし、出荷します。

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