
近年、麹を発酵させて作る甘酒が注目を集めていますが、酒粕を使って作る甘酒があることをご存知でしょうか。日本酒を作る際にできるのが酒粕ですが、酒粕には豊富な栄養成分が含まれています。酒粕は食べて栄養補給することはもちろん、肌のお手入れにも利用できる優れた発酵食品です。
酒粕の種類
酒粕は、日本酒を醸造する際に、もろみをしぼって酒を取り出した後に残る個体です。酒を作るときのもろみのしぼり方によって形が異なり、圧搾機でしぼった時は板状の「板粕」、吟醸酒などの高級酒を作る際にもろみを緩やかにしぼるとペースト状の「吟醸粕」になります。さらに、板粕をタンクに入れて踏み固め、熟成させた「踏み粕」もあります。
酒粕の健康効果
酒粕には発酵によって生成されたさまざまな成分や吸収しやすくなったお米の栄養がたくさん含まれています。したがって、炭水化物や食物繊維などが多く含まれるほかに、皮膚や神経など数々の細胞に必要なアミノ酸やビタミン類が豊富な発酵食品です。これらは、新陳代謝を促し、肌トラブルを解消してくれます。
さらに最近の研究では、血圧の上昇を抑える成分や、糖尿病や肝障害の予防、コレステロールの代謝改善など多くの効果が期待されるという結果が出ています。酒粕を上手に生活に取り入れて、これらの健康効果を利用したいものです。
酒粕甘酒の作り方
酒粕を使った発酵食品のレシピといえば、甘酒です。寒い季節、酒粕を甘酒にしていただくと体がホカホカと温まります。また、夏のエアコンによる冷え対策にももってこいです。
【材料(4~5杯分)】
・酒粕 100g
・水 800㏄
・砂糖 70g
・塩 ひとつまみ
・好みでしょうがのしぼり汁、はちみつなど
【作り方】
1.酒粕をちぎって分量の水の中に入れます。
2.砂糖とほんの少しの塩を入れ、弱火で酒粕が溶けるまで加熱します。
3.好みでしょうがのしぼり汁やはちみつを加えて器に注ぎます。
※酒粕の種類によって味やなめらかさが異なるので、酒粕や砂糖の量は好みで加減してください。
酒粕の甘酒以外の食べ方
酒粕は調理していただく他に、板粕をそのまま火にあぶって好みで砂糖を少しつけて食べるだけでもとても美味しいものです。甘酒の他、いつものみそ汁に大さじ1杯程度の酒粕を加えるだけで、手軽に粕汁ができますし、シチューやカレーなどに加えると酒粕の旨味ととろみでさらに美味しく、ほのかに酒粕の香りが漂い食欲を刺激します。
他にも酒粕は、奈良漬けなどに代表される漬け物や魚などの漬け床にも利用できますし、ペースト状の酒粕をパンに塗ってトーストするなど、洋風メニューにも生かせます。
酒粕の食用以外の使い方
酒粕を食べるだけでなく、一握りの酒粕を布袋などに入れて湯船に入れれば、麹由来のタンパク質分解酵素が肌の老廃物を取り除いてくれ、全身の保温・保湿効果が期待できます。
さらに肌への効果を望むならば、酒粕を使ったパックがいいでしょう。酒粕に同量の水を加えてなめらかになるまで混ぜ、顔や気になるところに塗って15分ほど置いたら洗い流します。酒粕に含まれるリノール酸やアルブチンが、肌トラブルを解消し、しっとりもちもちの肌にしてくれます。
ただし、酒粕にはアルコールなども含まれているので、体質や肌質に合わないこともあります。手の甲など体の一部で問題がないか確認してから、肌に用いるようにしてください。